2021年 年頭所感

     

 新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

令和元年6月に新設合併した当協会は3年目を迎えましたがコンクリートパイル・ポールのメーカー及び施工会社の団体として、従来にも増して、製品の品質向上と開発・普及並びに設計・施工技術の向上・普及に、業界の力を結集して取り組んでまいりますので、より一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

さて、日本の経済概況は、昨年7—9月期の実質成長率が前期比年率で+21.4%と過去最大のプラス成長になったものの、4—6月期の落ち込みの半分程度を取り戻したに過ぎず、昨年夏場以降の新型コロナ感染者の再拡大などを背景に、景気回復ベースは大幅に鈍化し、我が国経済は依然として非常に厳しい状況下にあります。今後は海外経済でも新型コロナの流行再拡大により不透明感は依然強く、我が国の内需は、個人消費の自粛、失業率の上昇や企業業績の悪化を受け、投資マインドの本格回復は長期化する見通しとなっています。

コンクリートパイルの出荷状況をみますと、令和2年度上期(4—9月) は、前年度同期比7.8%減の119万4千トンとなっており、パイル需要を牽引する物流施設・倉庫の民間需要は今年度に入ってから首都圏を中心に好立地高機能を活用した築造等により大幅に回復し関東地区での出荷が好調だったものの、地方での民間投資に慎重なる傾向が強まり関西以西は前年度に大きく伸びた工場などでの反動により低調に推移しました。下期はコロナ禍の影響による経済の復調が見通せない状況下にありますが、令和2年度全体のパイル出荷量260万トンは期待したいところです。

 

このような中、当業界における目下の重要課題は、一つには施工の品質管理の向上と人材の育成・強化であります。二つ目としましては、大地震発生時におけるコンクリートパイルの耐久性を明らかにするためのデータを収集し、コンクリートパイルの改良に向けた基礎データとして活用するための実証実験を継続して進めることです。三つ目としては、働き方改革への対応であり、そのための運動として建設業界一体での統一土曜閉所を推進するとともに、新型コロナウイルス対策にも配慮しつつ、これらを確実に実行する上で、また施工品質管理の強化に対応していく上で支障となり得る問題の解消へ向けた取り組みを進めていくことであると考えます。

当協会は、これらの課題への対応を中心として、本年も以下のような事業活動を着実に進めていくこととしております。

コンクリートパイル・ポールの製品に関しては、各地区を基盤とした需要拡大の活動状況を収集し、機関誌等による広報活動等を中心とした普及啓発事業を積極的に進めて参ります。需要動向調査活動につきましても、迅速かつ正確な情報を収集した各種統計調査と分析を広く提供させていただきます。このほか、標準化等の品質に関してはJISや団体の規格類の作成及び技術開発の調査研究につきましても鋭意進めて参ります。

杭の施工データ流用問題以降、再発防止を目指し、厳格な既製コンクリート杭工事の施工管理を適正かつ着実に実行する取り組みを鋭意進めておりますが、その一環として、施工管理のICT化を推進しているところです。杭基礎工事にICTを活用して施工管理データを一元管理することにより、検査の実施から報告に係る業務を大幅に効率化し、現場管理者の負担を軽減することが可能となります。会員会社への普及に努めており、業界全体で安全性の根拠となるデータを発信するシステムを業界のインフラとして作り上げていくことにより、社会からの信用を確たるものにしていきたいと考えています。そのほか、既製コンクリート杭工法の施工管理につきましては、引き続き国土交通省をはじめ日本建設業連合会等関係団体とも連携を図りながら、技術講習会の充実、技術図書の刊行・改訂などの取り組みを進めて参りたいと考えております。

平成27年度から、関係団体と共同して開始し、平成288の国交省告示により、その試験が「登録基礎ぐい工事試験」として登録された基礎施工士資格制度につきましては、制度発足後5が経過し、令和元年度末までに3,000名を超える新たな基礎施工士を輩出しており、令和2年度も155名の方が試験に合格されています。人材育成の観点から資格保有者を増強することにより、杭基礎建設の施工品質、安全性及び信頼性のさらなる向上に繋がるものと期待しているところです。

平成29年の道路橋示方書・同解説の改定に伴い、令和210月に示方書を補う杭基礎設計便覧や杭基礎施工便覧の改定が行われましたが、それを受けて当協会発行のマニュアルやガイドラインもまもなく改訂版を発行するなど、国等と共同で実施した調査研究の成果を反映すべく取り組んでいます。

また、令和27月に当協会は基礎工事関連3団体と共同で、建設業法に基づく許可業種区分における「基礎ぐい工事業」の独立についての要望書を国土交通省に提出しました。基礎業界は特殊な機械・機材、独自の技術・ノウハウ、基礎施工士など専門資格を有した人材を抱える専門工事業として確立しており、独立区分業種として明確にすることにより、基礎ぐい工事全体の品質の向上と信頼性の確保を目指して、要望を継続します。

 

今後とも、杭基礎構造の設計・施工に関する基準類の改訂や標準化等に係る実験、調査研究を継続し、大学及び国の研究機関との共同研究や関係団体等との技術交流を推進するとともに、調査研究成果や技術情報の提供・普及等の事業活動を展開して参ります。

当協会におきましては、現下の厳しい諸情勢を踏まえつつ、各々の課題に積極的に取り組んでまいる所存でありますので、関係官庁及び関係機関の皆様方のなお一層のご指導とご理解を御願い申し上げます。

最後に皆様方のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。

一般社団法人コンクリートパイル・ポール協会

会長 黒瀬 晃
(ジャパンパイル株式会社)