当協会は、令和元年の合併新設以来8年目を迎えます。コンクリートパイル・ポールのメーカーおよび施工会社の団体として、従来にも増して、製品の品質向上と開発・普及および設計・施工技術の向上・普及に、業界の力を結集して取り組んでまいりますので、本年も皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
さて、日本経済の先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意する必要があります。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、金融資本市場の変動の影響にも引き続き注意する必要があります。
コンクリートパイルの出荷状況をみますと、令和7年度上期(4—9月)の実績は、98万6千トンと前年同期に比べ0.4%増と3年振りの出荷増になりました。パイル需要を牽引する民間需要では、物流施設・倉庫を中心に事務所・店舗や土木が堅調に推移し前年同期に比べ7.5%増となりました。一方官公需要では、土木及び建築系が共に昨年より低調で推移しています。地区別でみると、需要地である「関東」を中心に「北海道」「中部」「中四国」の4地区が好調でした。
今後ともセメントや鋼材など建設資材高騰の影響、時間外労働の上限規制の本格化による受注の絞り込み等が懸念される中、下期においては首都圏や地方での倉庫向けなどを中心に民需が堅調に推移していることから、令和7年度は200万トン台の回復も想定され改善に向かうものと期待しているところです。
一方、近年の会員各社の技術開発により、出荷されるコンクリートパイルの高支持力化、大口径化が進んでいます。高支持力杭は、年々その比率は高まり令和6年度は86%になっていますし、杭径別割合φ1,000以上のパイルも徐々に増加し令和6年度は30%近くを占めるに至っています。今後ともこうした動きは、着実に進展すると考えられます。
このような中、当協会は、本年も以下のような事業活動を着実に進めることとしています。
一つ目は、コンクリートパイルの信頼性の更なる向上です。当協会の会員が製造、施工に携わっているコンクリートパイルは、地震に対する構造物の安全性などに密接にかかわっています。当協会では、本年も大地震時におけるコンクリートパイルの挙動に関するデータ解析を行うなど、コンクリートパイルの信頼性向上に向けた研究を進めてまいります。
今後とも、コンクリートパイルの信頼性のさらなる向上を図るため、杭基礎構造の設計・ 施工に関する基準類の改訂や標準化等に係る調査研究を継続し、大学および国の研究機関 との共同研究や関係団体等との技術交流を推進するとともに、調査研究成果や技術情報の 提供・普及等を行ってまいります。
二つ目は、働き方改革の推進です。日本の建設業を守り有能な人材を確保するため、コンクリートパイル業界も建設業全体と連携して働き方改革に取り組む必要があります。
そのためにも、適正工期を確保し、長時間労働の是正、作業所の週2日閉所(4週8休)実現等に継続して取り組む必要がります。コピタ会員の施工現場の作業所閉所状況をみると、令和元年当初は、全国平均で4週4.4日の閉所だったところ、令和7年度上半期には、6.4日の閉所と着実な改善がみられますが、今年も引き続き元請業者とも協力し一層の取り組みを進めてまいります。
三つ目は、「基礎ぐい工事業」の社会的位置づけの明確化です。基礎ぐい工事業界は、現状、特殊な機械・機材、独自の技術・ノウハウ等を有していますが、専門技術は高度化するとともに体系化が進んでいます。こうした実態を踏まえ、当協会を含む基礎工事関連四団体は、建設業法に基づく許可業種区分について「基礎ぐい 工事業」を「とび・土工工事業」から独立させることを国土交通省に対し継続して要望しています。基礎ぐい工事業に携わる人々に誇りを持って仕事に取り組んでいただくためにも、その実現に向け今後とも粘り強く活動してまいります。
最後に、「基礎ぐい工事業」の専門性の確立です。これまでは、(一社)日本基礎建設協会と当協会が共同で、場所打ちコンクリート杭工法と既製コンクリート杭工法に関する資格である「基礎施工士」を国の制度に基づき運営する一方で、(一社)鋼管杭・鋼矢板技術協会が、鋼管杭に関する資格である「鋼管杭施工管理技士」を独自に運営されてきました。これを、基礎ぐい全てをカバーする資格制度として統合するべく、「基礎施工士」資格に「鋼管杭施工管理技士」資格を組み入れることを三協会で協議してまいりましたが、昨年その協議が整い、今年の「基礎施工士」資格試験から、場所打ちコンクリート杭工法と既製コンクリート杭工法に加え鋼管杭工法も対象に加えることで、基礎ぐい全てを対象とする「基礎施工士」資格とする方針が固まりました。関係資格の統合・一本化は、基礎ぐいの施工品質と安全性・信頼性の向上につながりますし、基礎ぐい工事に携わる技術者の資格取得に対するモチベーションも高まると考えています。資格統合に係る新たな試験は今年秋に実施することになりますが、混乱なく円滑に試験を実施できるよう万全の準備を行ってまいります。
コンクリートパイル・ポールの製品に関しては、当協会の支部において地域の需要拡大に向けた活動を行うとともに、需要動向に関する正確な情報を迅速に収集し、調査と分析の結果を広く提供させていただきます。また、セメントJISの改正への動き等に的確に対応するとともに、標準化や品質向上に資するJISや団体の規格類の作成および技術開発に取り組んでまいります。このほか、機関誌等による広報活動を中心とした普及啓発事業を積極的に進めてまいります。
当協会におきましては、現下の厳しい諸情勢を踏まえつつ、各々の課題に積極的に取り組んでまいる所存ですので、関係官庁および関係機関の皆様方のなお一層のご指導とご理解をお願い申し上げます。
最後に皆様方のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。
以
上
一般社団法人コンクリートパイル・ポール協会
会長 塚本 博
(日本コンクリート工業株式会社)