2020年 年頭所感

     

 新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

昨年6月に一般社団法人コンクリートポール・パイル協会と一般社団法人コンクリートパイル建設技術協会を合併し、新たに一般社団法人コンクリートパイル・ポール協会を設立いたしました。新協会はコンクリートパイル・ポールのメーカー及び施工会社の団体として、従来にも増して、製品の品質向上と開発・普及並びに設計・施工技術の向上・普及に、業界の力を結集して取り組んでまいりますので、より一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

さて、日本の経済概況は、昨年7—9月期の実質成長率が前期比年率で+0.2%と4四半期連続のプラス成長になったもの、成長ペースは4—6月期(前期比年率+1.8)から大きく減速しました。主因はサービス輸出の下振れと在庫投資が減少した一方で国内最終需要が堅調に推移したことによるものと思われます。今後は海外経済の不透明感は依然強いものの製造業の投資マインドがプラスに作用し、内需に牽引される形で緩やかな景気回復が持続するとの見方をしております。

コンクリートパイルの出荷状況をみますと、年度上期(4—9月) は、前年度同期比10.4%減の129万トンとなっており、ここ数年パイル需要を牽引していた物流施設・倉庫の民間需要が今年度に入ってから伸び悩み、関東地区をはじめ東日本の出荷が低調に推移しました。下期は西日本が引き続き好調に推移するとともに、関東地区も持ち直しが期待され、2019年度全体のパイル出荷量は年度同様の270万トンと見込んでおります。

このような中、当業界における目下の重要課題は、一つには施工の品質管理の向上と人材の育成・強化でありますが、その主要事業として、施工管理のICT化の普及及び基礎施工士資格制度の普及拡大が挙げられます。二つ目としましては、大地震発生時におけるコンクリートパイルの耐久性を明らかにするためのデータを収集し、コンクリートパイルの改良に向けた基礎データとして活用するための実証実験を継続して進めることです。三つ目としては、働き方改革への対応であり、そのための運動として建設業界一体での統一土曜閉所を推進するとともに、これを確実に実行する上で、また施工品質管理の強化に対応していく上で支障となり得る問題の解消へ向けた取り組みを進めていくことであると考えます。

当協会は、これらの課題に対応するため、本年も以下のような事業活動を着実に進めていくこととしております。

コンクリートパイル・ポールの製品に関しては、各地区を基盤とした需要拡大の活動状況を収集し、機関誌等による広報活動等を中心とした普及啓発事業を積極的に進めて参ります。需要動向調査活動につきましても、迅速かつ正確な情報を収集した各種統計調査と分析を広く提供させていただきます。このほか、標準化等の品質に関してはJISや団体の規格類の作成及び技術開発の調査研究につきましても鋭意進めて参ります。

杭の施工データ流用問題以降、再発防止を目指し、厳格な既製コンクリート杭工事の施工管理を適正かつ着実に実行する取り組みを鋭意進めてまいりましたが、今般新たに施工管理のICT化を推進したいと考えております。杭基礎工事にICTを活用して施工管理データを一元管理することにより、検査の実施から報告に係る業務を大幅に効率化し、現場管理者の負担を軽減することが可能となります。会員会社への普及に努め、業界全体で安全性の根拠となるデータを発信するシステムを業界のインフラとして作り上げていくことで、社会からの信用を確たるものにしていきたいと考えています。そのほか、既製コンクリート杭工法の施工管理につきましては、引き続き国土交通省をはじめ日本建設業連合会等関係団体とも連携を図りながら、技術講習会の充実、技術図書の刊行・改訂などの取り組みを進めて参りたいと考えております。

また、平成27年度から、関係団体と共同して開始した、基礎建設の施工に関してより広範かつ高度な専門的技術能力を有する新たな技術者資格(基礎施工士)制度は、平成288月の国交省告示により、その資格試験が「登録基礎ぐい工事試験」として登録され、当該試験合格者である基礎施工士は、主任技術者として認められるとともに、経営事項審査の技術力評価のうち技術職員の項目において2点として評価されております。平成30年度末までに2,400名を超える新たな基礎施工士を輩出しており、令和元年度も601名の方が試験に合格されています。人材育成の観点から資格保有者を増強することにより、杭基礎建設の施工品質、安全性及び信頼性のさらなる向上に繋がるものと期待しているところです。

平成29年の道路橋示方書・同解説の改定を受けて、示方書を補う杭基礎設計便覧や杭基礎施工便覧の改定作業が行われているところですが、当協会からも改定WGに参画して、国等と共同で実施した調査研究の成果を反映すべく取り組んでいます。

今後とも、杭基礎構造の設計・施工に関する基準類の改訂や標準化等に係る実験や調査研究を継続し、大学及び国の研究機関との共同研究や関係団体等との技術交流を推進するとともに、調査研究成果や技術情報の提供・普及等の事業活動を展開して参ります。

当協会におきましては、現下の厳しい諸情勢を踏まえつつ、各々の課題に積極的に取り組んでまいる所存でありますので、今後とも関係官庁及び関係機関の皆様方のなお一層のご指導とご理解を御願い申し上げます。

最後に皆様方のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。


一般社団法人コンクリートパイル・ポール協会

会長 黒瀬 晃
(ジャパンパイル株式会社)